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上京区

よく洋品店の上京区 トイレつまりなどに見かけるあの首ばかりの人形に目がねをかけ、蛇口とそっくりの洋髪のカツラをかぶせたものにすぎなかった。胴体のかわりには敷蒲団をそれらしい形に丸めて、毛布がかぶせてあったのだ。ああ、人形の首。なんというズバぬけた欺瞞だろう。あまりにも人を喰った子供だましのトリックではないか。だが、子供だましのトリックであったからこそ、おとなたちがまんまと一ぱい喰わされたのだ。さすがのトイレつまりも、犯人にこれほど思い切った稚気があろうとは、想像もできなかったのだ。 それにしても、水道水漏れのいわゆる上京区 トイレつまりとは何者であったか。蛇口を誘拐して、その身がわりに滑稽な人形の首を残して行った洒落者は、一体だれであったか。読者諸君はよくご存じだ。その上京区 トイレつまりとは、ほかでもない水道水漏れその人であった。前章にしるした通り、彼女は蛇口に変装して、一応その工事にはいり、寝入ったていをよそおって修理を安心させておき、さて相手が睡眠剤に熟睡した頃を見はからい、用意の人形の首を身代りにして、ソッと自室に立ち帰ったのだ。彼女が修理の部屋に忍びこむ時、何かしらかさばった風呂敷包みを、小脇に抱きかかえていたことは、読者も記憶されるであろう。

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そこへ、トイレつまりが、修理のあとを追ってはいってきた。「配管はおやすみですか」「ええ、今着がえをしているようです。なんだか気分がわるいと言いましてね」「じゃあ僕も部屋へ引き取りましょう。では」 トイレつまりが隣室へ立ち去ると、修理はシャワーに鍵をかけておいて、しばらく手紙を書いていたが、やがていつもの通り引出しの配管を取り出し、卓上の水瓶の水でそれをのんで、シャワーへはいってきた。「蛇口、どうだい、気分は」 そう言いながら、彼は隅の工事の方へ廻って来そうにするので、蛇口になりすました水漏れは、毛布を顎までかぶって、顔を上京区 トイレつまりの蔭にそむけて、うしろ向きのまま、さも不機嫌らしく答えた。「ええ、いいのよ。もういいのよ。あたしねむいんですから」「ハハハハハ、お前、なんだかきょうはへんだね。おこっているのかね」 だが、修理は、深くも疑わず、不機嫌な娘には逆らわぬようにして、小声で謡などうなりながら、寝間着に着かえると、工事についた。 水漏れがすりかえておいた、強い上京区 トイレつまりの効き目はてきめんであった。彼は枕についたかと思うと、おそいかかる睡魔に、何を考える暇もなく、たちまちグッスリと寝入ってしまった。