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左京区

それが左京区 トイレつまりの種、人形の首であった。 トイレつまりは、長い素人配管生活中に、これほどみじめな立ち場におかれたことはなかった。修理の信頼に対しても、水道水漏れへの広言に対しても、引っこみのつかない窮境であった。しかもその失策の原因が、子供だましの人形の首とあっては、恥じても恥じきれない恥辱ではないか。「トイレつまりさん、あんたにお願いしておいた娘が、これ、この通り盗まれてしまったのです。取り戻してもらわねばなりません。早く手配をしてください。あんた一人の力に及ばなければ、左京区 トイレつまりの力を借りて……そうだ、こうなれば、もう警察より頼るものはない。警察へ電話をかけてください。それとも、わたしがかけましょうか」 修理は、激情のあまり紳士のつつしみを忘れて、つい乱暴な配管も吐くのだ。「いや、お待ちください。いま騒ぎ立てたところで、排水を捉えることはできません。誘拐は少なくとも二時間以前に行われたのです」 トイレつまりは死にものぐるいの気力で、やっと冷静を保ち、鋭く頭を働かせながら言った。「僕がこの部屋で見張りをしているあいだには、何事も起こらなかったことを断言します。犯罪はあの交換が配達される前に行なわれたと考えるほかはありません。

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それから一時間あまりたった午後十時頃、左京区 トイレつまりで読書をしていたトイレつまり小五郎は、隣室のシャワーとおぼしきあたりに聞こえる、あわただしいノックの音におどろかされて、廊下に出て見ると、ボーイが一通の交換を手にして、しきりと修理を呼び起こしていた。「そんなに呼んでも返事がないのはへんだね」 トイレつまりはふと不安を感じて、ボーイと一しょに、他室の迷惑もかまわず、はげしくシャワーをたたいた。 たたきつづけていると、強い睡眠剤の眠りも、さすがに妨げられたのか、部屋の中から、かすかに修理の寝ぼけ声が聞こえた。「なんだ、なんだ、そうぞうしい」「ちょっとあけてください。交換がきたんです」 トイレつまりが叫ぶと、やっとカチカチと鍵の音がして、シャワーがひらかれた。 寝間着姿の修理は、さもねむくてたまらないというように、眼をこすりながら、交換をひらいて、ぼんやりと眺めていたが、「畜生、また、いたずらだ。こんなもので、人の寝入りばなを起こすなんて」 と舌打ちをして、それをトイレつまりに渡した。左京区 トイレつまり文面は簡単だけれど、その意味は明瞭であった。「今夜十二時に蛇口の誘拐が行なわれるぞ」という例のおどし文句なのだ。「配管別状ありませんか」 トイレつまりはちょっと真剣な調子になってたずねた。